耳うどん

耳うどんの“云われ”&“作り方”

 【云われ】

佐野市仙波地区に伝わる「耳うどん」は、いつごろから作られるようになったかは定かではありませんが、江戸時代あたりより伝わってきたと地域の長老は語ってくれます。地域の云い伝えとして、次のようなことが言われています。

〔1〕    作る時期は、一年の結びである12月末で、正月の準備をするときにいっしょに作ります。

作るときは、家族そろっているときで、囲炉裏やコタツを囲んで、家族みんなで作るも

のとされてきました。

〔1〕   食べるのは、正月に入ってから食べます。昔は冷蔵庫などはありませんので、茹でてから、水の中に入れ、屋外の樽の中などに入れて置くと、冷水保存となり、長く保存できるので便利でした。

〔2〕   正月に食べる理由として、年末に家族で作った「耳」に一年のいやな話題を封じ込め、新年には、それらを食べてしまい、今年は嫌な話題の無いようにと願いながら食べたと伝えられています。

〔3〕   また、新年になると各家庭にお客様が訪れますが、そのもてなしとして、サッと調理ができ、それなりのごちそうになる「耳うどん」が便利とされ、一家の主婦たちに楽をさせるためにも広まったと言われています。

〔4〕   別名「姫うどん」と呼ぶ家庭もありますが、これは姿が、お雛様のようであったことから、お雛様になぞらえて「姫うどん」と呼んだようです。  

【作り方】

 (1)小麦粉でうどんを打つようにこねます。この時の固さは、耳たぶの固さ程度がよいでしょう。(※コツ)薄力粉等の場合は、小麦粉に少々2~3%の米粉を加えると、出来上がりに耳がピンと立つように出来上がります。塩を少々入れることもあり)

 (2)うどんを打つように、麺板・麺棒で薄くのします。

(3)厚さは、2~3ミリ程度の厚さがよいでしょう。(多少、厚さが異なっても影響はありません)

 (4)のした後は、包丁で半分に切り重ねます。あとはマッチ箱サイズに切ります。

(3.5センチ☓5.5センチ程度。定規をつくり、同じサイズに切ると、出来上がりがきれいにできます。)

(5)切った板状の麺を、親指・人差し指・中指で、片面を重ねるように折り、裾を跳ね上げるように折ります。この時、重ね面が、着物の着付けと同じように重ねます。縁起ものですので、逆に重ねないように注意しましょう。 

(6)鍋にたっぷりの沸騰したお湯の中に入れます。

 量によっては、数回に分けて行いましょう。

軽く菜箸などで、かき混ぜ、くっつくのを防ぎましょう。沈んだ耳うどん

が、浮き上がってきたら、湯を切り水で冷やします。

(7)別の鍋に、醤油味のけんちん汁をつくるように、味付けをした汁を作ります。具は、家庭にある材料で適宜よい。(一般的に、人参、大根、ネギなどの野菜と鶏肉です。牛肉や豚肉はあまり使用しません。これは、古くは自家で調達できる肉として、山鳥や鶏肉などを使っていたなごりです。)

 (8)盛り付けは、どんぶりに盛り、トッピングとして、茹でたホウレンソウやネギのみじん切り、鳴門やかまぼこを乗せればばっちりです。

  

 

仙波そば

仙波地区は古くから「そば」の産地として有名になっていました。以前は、そばは生産するのみで、山向う(栃木市)の出流地方にそばの原料として送られていました。地元の人々の自ら営業意欲により、国の助成制度を活用し『農林漁家高齢者センター』を建設し、そばを振舞うようになったのです。

仙波地区むらずくり推進協議会を立ち上げ、原料を確保するために「そば生産部会」販売を目的に「そば加工販売部会」等を組織し、今日まで活動を続けています。この活動は、栃木県における先駆的な活動であったことから、各地より多くの視察に訪れるなどがあり、最近では各地に類する施設が事業展開されるようになりました。

仙波地区は、石地の土地であり、地質は肥えておらず、そばには適した地形と地質であることから、おいしい「そば」が穫れるのです。

営業は、土曜日・日曜日の昼食時のみの営業ですが、山間のおいしい蕎麦を味わうため訪れてみてはいかがでしょうか!

 

 ◍一升打ちそば・・・3,000円  ◍八合打ちそば・・・2,500円  ◍五合打ちそば・・・1,500円 ◍盛そば・・・500円

 ◍大盛そば・・・600円  ◍ざるそば・・・600円  ◍天ぷら盛り合わせ・・・700円  ◍天ぷら(三品)250円

 ※各種飲物あり

 ※季節により手作り味噌あり・・・800g・・・600円

 

 

どじょうむぐり

“どじょうむぐり”は仙波地区に伝わる郷土料理。仙波地区の郷土料理と云えば “耳うどん” が有名ですが、この「どじょうむぐり」も古くから伝えられてきた郷土料理です。最近では、作る家も少なくなり、忘れされつつある郷土料理になっています。

『云われ』と『作り方』を紹介しましょう!

古くは、農家の囲炉裏での料理です。うどんのように手打ちですが、やや厚めで幅広に切ります。打ち粉はたっぷりと付けたままにしておきます。麺は、無理に長くしなくても良く、短くても問題ありません。

鍋に、季節の野菜を入れ、みそ味で味をととのえます。(しょう油ベースでも良い)この中に、手打ちの厚広の麺を入れ(打ち粉をつけたまま)グツグツと煮ます。

古くは、各家庭は囲炉裏であり、燃し火であったため、火力が強く、鍋の中は、グツグツと煮えくりかえっていましたので、鍋に入れた麺は、鍋の中で上下に踊り、見ていると「まるで、どじょうが鍋の中で、潜ったり沈んだり、踊っているよう・・・」との姿から、『どじょうが潜ったよう!』が転じて『どじょうもぐり』・・・さらに、方言でなまり、『どじょうむぐり』となったと言われています。

最近では、家庭で調理しても一般の調理台のガスでは火力が弱く、どじょうが泳がないのが残念です。業務用のガスコンロを使い、さらに鍋もジュラルミンなどの厚手のツルつき鍋などがあれば最高の味が味わえるでしょう!

 郷土に残したい“幻になりつつある郷土料理”です。

 



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